SIDE菜月。


あたしは目の前の光景に、ただただ驚いている。

一昨日のお泊り会のとき、俊介の部屋にiPodを忘れたことに気付き
いつものようにドアをあけたらそこにいるのはCalm Heat。
なんでCalm Heat・・・ていうか晴希がいるの?
おばちゃんも、俊介は部屋にいるよとしか言わなかったのに。

槙「何、菜月?」

菜月「えっあっえーと・・・・」

パニクってなんでここにいるのかも忘れてしまった。

槙「あ、もしかしてこれ?」

俊介が引き出しからiPodをとりだして見せる。

菜月「あっそうそう!ごめん」

用は済んだし、客はいるし、あたしは帰るべきなんだろうけど
足が言うこと聞いてくれない。
晴希と何か一言でも交わしたいと思った。
だけど言葉もでてこなくて。
どうしよ・・・

その時、「誰?」と福本幸が泰地に視線を送るのが見えた。

泰地「あ~この子、葉山菜月ちゃん!槙のこれこれ」

泰地は親指を立てる。

槙「馬鹿かお前、立てるのはこっちだし!」

俊介が泰地のほっぺに小指を押し付けた。

幸「彼女さんかー、こんばんわ」

菜月「あ、こんばんわ・・」

福本幸。爽やかだな。

槙「菜月そんなとこに突っ立ってないでここ座れば?」

菜月「うん・・」

俊介と泰地の間に腰をおろす。
目の前には福本幸と二宮晴希。
晴希、記憶にはないけど16年ぶりだね。
やっと逢えたよ。