SIDE菜月。


9時。
予定より二時間遅れで槙ん家におじゃました。

菜月「あれ?浩介お兄ちゃんたちもいないの?」

槙「今更何言ってんの菜月・・・
  兄ちゃんも姉ちゃんもとっくに家でたじゃん」

菜月「そうだっけ?県外?」

槙「うん兄ちゃんは愛知で、姉ちゃんは宮城。
  あれ、言わなかったっけ?」

菜月「・・・言ったかも。ごめんごめん」

そういえば就職で二人ともいなくなるから、うんたらかんたら言ってたような。
じゃあ今日はあたしと俊介、二人きりなんだ。
久しぶりだな。

菜月「でも淋しくないの?」

槙「まー最初は静かになって変なかんじだったけど、慣れたらどってことないよ。
  兄ちゃんは月1で帰ってくるし」

菜月「浩介兄ちゃん、意外とお母さん子だったもんね!笑」

槙「そ、マザコン。笑」

でもわかるなぁ。
槙のお母さんって明るくて面白いし、お父さんもおっとりしてて優しいよね。
そんなステキな両親いたら、家に帰ってきたくもなるよ。

槙「菜月はどう?おじさんと・・うまくやってる?」

菜月「ううん、相変わらずだよ。会話ないし。
    まっ、そのおかげで今日も問題なく槙ん家に来れたんだけど!」

槙「・・・そか。
  いつでもおいでね」

槙の口調が優しくなった。

明るく答えたつもりだったけど
心のどこかで淋しく思ってること、見抜かれちゃったかな。

槙「菜月には俺がいるからね」

槙の優しくてあたたかい手が頭をなでた。

ありがとう。
いつも槙の言葉に救われてるよ。