次の日。

「菜月ちゃーん」

学校へ向かう途中、ぱたぱたと走ってきたのはみやこだった。

菜月「おはよみやこ。いっしょになるの珍しくない?」

あたしとみやこは学校も違えば、通学時間も違う。

みやこ「えっへへ、朝課外遅刻!」

おでこに手をあてながら舌をぺろっとだして言った。
みやこってこういうひとつひとつの仕草が、いちいち可愛いんだよね。
髪わふわふわのパーマで
体は華奢だし
あたしが男だったら守ってあげたいって思うだろうな。
てことは泰地がライバル?

菜月「・・・負けんし」

みやこ「え、何か言った?」

菜月「いや、なんにも!
    昨日あれからずっと俊介ん家にいたの?」

みやこ「菜月ちゃん帰ったからうちも帰ったよ。
     槙と泰地、二人でヒートアップしてたし。」

菜月「あぁ・・・」

みやこ「ところでさぁ、菜月ちゃんは進路決まった?」

菜月「うーん・・・まだ具体的には決めてないんだよね。」

みやこ「えー、もう10月だよ!?決めてないってやばくない?
     とか言いながらうちも大学行くってことしか決めてないんだけどねっ」

みやこは大学かあ。
あたしは経済的にキツイって理由で、大学進学っていう選択肢はないんだよね。
となると就職しか道は残されてないけど・・・
自分が何したいかわかんないし働くって実感もわかない。
とりあえず家は出たいって思ってるけど。