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「「え? 」」
振り返るふたり。数歩先、目の前にそれはいた。
「い、いつの間に・・・」
「お二人がお話に夢中になられている間に横の茂みから現れましたわ」
固まっている二人を尻目に、アマーリエはすっと二人の前へ音もなく移動する。
「ア、アマーリエちゃん! 危ないって・・・」
止める間もなく踏み込み、背負っていたメイスを横から振りかぶる。
「ふん! 」
嫌な音を立てて、土竜が・・・断末魔の声も挙げられず、真っ二つにされた。上半身が支えもなく、後ろに崩れる。
「な・・・」
「・・・これで義理は果たさせて頂きました。あとはお好きなように」
笑顔を崩さずメイスを振り、血を払うと元来た道を引き返す。
「ア、アマーリエちゃん? 」
名前を呼ばれ、一度足を止め振り返る。
「わたくし、既婚者に興味ありません。時間の無駄でした」
何も言えないでいるふたりを残し、去っていった。

それからも、何度も美貌と役職により、声を掛けられる。
だがどの男性も既婚者か恋人持ち、はたまた未成年ばかり。
「・・・はぁ、世の中世知辛いです。フリーの男性はいないものでしょうか。いえ、まだ初日。慌てなければきっと・・・」
そしてまた、肩を叩かれた。