「お前、ピアスを付けて来てはいけない規則が、この学校にある事ぐらいわかっているだろ?」




赤いボールペンを隼人に突き付けながら言う中村に、隼人は何も反応を見せない。







桃代は、黙って事務室から見えるグラウンドを眺めていた。





「はい、今日は返すがまた付けている所を見つけたら……わかるだろ?」



そう言いながら、にやける中村を見ながら、縦に顔を振る隼人。




それを見た中村は、自分のデスクの棚から、隼人のピアスを取り出し、手渡した。






「もう、こんな事するなよ!こっちも一応仕事なんでなー…」



最後に嫌味っぽい事を付け足した中村に、隼人は、満面な笑みを浮かべて





「ありがとうございます!」


とにこやかに言った。




うぇ〜




それを隣で見ていた桃代は、吐きそうな顔つきで隼人を見たが、



そんな桃代に鈍感な隼人は気付くはずもない…。