「えっ?」


いきなり口に出した男の名前に雅樹は驚きをかくせないでいた




「だ、誰だよ」




小さく呟くようにして訪ねる雅樹を桃代は我に返り


自分がいまさっき口にしたことを驚きながらも



手で口をかくした




私、今なんていったの?




頭が真っ白な桃代に
雅樹は続けていた




「隼人って言う人が好きなのか?」



「えっ?」



いきなりのストレートの雅樹からの質問に桃代はさらに驚いていた





私が隼人を……?




「ありえないよ」




あははと笑う桃代を悲しそうな瞳で見つめる雅樹




「無理すんなや」



苦笑いをした雅樹に桃代の笑いが止む





雅人はその場から立ち上がるとスリッパから靴にかえた




そんな雅樹を桃代は止めようとせず、ただ黙ってみていることしか出来なかった


「俺、ふられちゃった」



そうにこやかに言った雅樹は逃げるようにして学校から出て行ってしまった






「雅樹…」



そんな雅樹の後ろ姿を見つめながら



「ごめんね、ありがとう」



と独り言を呟いた