「…!」




教室の中まで入った桃代は、
いきなり足を止めた。





「ま…まぢ…」



人って、着こなしを変えただけでこんなにも変わるものなの?





桃代がこんなにも
驚くのにも無理はないだろう。




なぜなら




桃代の前には


シルバー色のスーツの下には、黒色のカッターシャツ

髪はまるで
銀座のホストのようにセットされていて



おおきな高級そうな椅子に座っている隼人の姿があった。






だ、だれだこの人?





そこに座っていた隼人の顔は

あのいつもの
どこか抜けてそうな顔じゃなかったから




ますます
桃代は驚いていた。






「次は誰ぇ〜」






もう疲れた顔をしていた隼人だったが



目の前で自分だけを見る桃代を見た途端に目の色を変えた。




そんな桃代の後ろにはガッツポーズをしながら
教室のドアをゆっくり閉め姿を消した和馬がいた。






和馬…


俺は幸せもんだよ…





心から御礼を言い渡し
呆然と立ちながら隼人を見る桃代の所まで向かった。