「…う…っうん。」
鼻をすすりながら、なんとか流す涙を拭き取る花梨を、悲しい目で見つめる桃代。
「私ね…」
「うん」
花梨が話し始めて来たので、桃代は黙って聞いた。
「和紀くんが好きだよ。」
無理して笑う花梨に、胸を痛める。
「でも、嫌われちゃった!」
それでも、まだ笑う花梨に、桃代は肩から手を離す。
「だって、私せっかく二人っきりになったのに、恥ずかしがり屋な私だから、話す事がなくてさ」
「ついつい、いっつも話しの方向が隼人くんにいっちゃうんだよ…。」
頭に手を当てながら、
「そんな、私にきっとうんざりしちゃって切れちゃったんだよー…。
だめだなぁ〜私。」
最後に苦笑いをたした花梨に、桃代はじっと涙を堪えていた。