「バックを廊下に出すって…明らかおかしいでしょ。はぁー陽菜あんた今どこにいんの?そっち行くから教えて」

「らんー…ありがとう。今、屋上にいる。」

「わかった。」

『ギー。ガチャン』




「陽菜?バック持ってきたよ」

「ごめん迷惑かけて。ありがとう。」
「ごめんって思うなら何か話なさいよね…」

「うん。話す。」


そうして私は、同居相手が八神君だったこと…

八神君から可愛くないと言われショックで思わず教室を出てってしまったことを話した。

話し終わると蘭は

「陽菜は自分の気持ちに気づいてないんだね笑」

「自分のきもち?」
「まぁ、そうゆうことは自分で考えないとだからね。とりあえず、陽菜の気持ちが落ち着くまで八神君と距離を置いてもいいかもね?」

「うん。今はちゃんと関われる気もしないし…」

「じゃあ、陽菜!今日から落ち着くまでうちに泊まりな!」

そうして、私は家に帰って蘭の家に泊まる準備と置き手紙を置いて家を出た。
『ガチャ』

学校が終わり、来ているはずの陽菜の姿が1時間目から見当たらなくて俺は心配で早く帰ってきた。


リビングに入っても陽菜の姿はない。


2階の陽菜の部屋に行こうと思ったら、机の上に紙が置いてあることに気づいた。


”少しの間、蘭の家に泊まります。”
「蘭の家に泊まりますって…明らか俺、避けられてるよな。なんかあいつにしちまったのかな」


自炊もできない俺は、とりあえず冷蔵庫に何があるかを確認するためにキッチンに行った。

冷蔵庫を開けようと思ったら紙が貼ってあることに気づいた。


”冷蔵庫にハンバーグがあります。温めて食べてください。お味噌汁も作っておきました。良かったらどうぞ。”
わざわざ作ってくれたんだ。

「いつもタメ口なのに敬語って…」

すげー距離感じる。





1人で食べたハンバーグは陽菜が作ったものとはいえ…あまり美味しく感じなかった。
「なにぼーっとしてるの?」

「いや、大したことじゃないけど…」

「私、お風呂入ってくるから適当にゆっくりしといて」

「わかった。」

蘭の家に来てからも私はずっと八神君のことが気になっていた。

ご飯ちゃんと食べたかな?

お腹壊してないかな?
八神君のことが気になって仕方ない。

こんなに気になるなら家に帰れば良かったのに…

でも…八神君の顔を見たら泣いちゃいそうなんだ。

なんで、泣きそうになるのかは…まだわからない。

大したことじゃないのに…可愛くないって言われたことぐらい…


「なんで…あんなに嫌だったんだろ。」

「また八神のことを考えてるの?」
「え?」

少し髪の濡れた状態の蘭が部屋に戻ってきた。

「そんなに心配なら帰ればいいのに」

自分でもそう思う。帰ればいいって…でも…


「わかんないけど…八神君に会いたくないの」

「うん。」

「多分ね、可愛くないって言われたのが傷ついたんじゃなくて…」