忘れたこともないよ。

陽菜が学年の姫か…


「竜輝ー早くいこうぜ!」

「おう。」


『ガラガラガラ』

クラスに入ると、陽菜は友達と楽しそうに話していた。

あんな、楽しそうに話すんだな。陽菜って

俺にはあんな笑顔見せたことないよな…

やっぱり、気を使ってるんだろうな。
陽菜からしたら俺はただのクラスメイトだから仕方ないけど…

あー。なんかもう色々考えてるとイライラしてきた

自分の頭を片手で触っていると

「なーにイライラしてんだよ」

「なんだ、大和か」

てか、こいつなんで俺がイライラしてるってわかんだよ
「なんもねーよ。」

「まったくー。そんな時は姫のことを見れば笑顔になるよ?」

何が姫だよ。すげぇ腹立つ。

こんなのただの嫉妬だって分かってる。俺も見たことない笑顔を見て可愛いって言ってる大和にイライラして仕方ないんだ。



「さっきからうるせーよ。姫宮なんて大して可愛くないだろ。」


俺はそう大和に言って教室を出た。





その言葉を近くを通った陽菜が聞いていたことも知らないで…
「さっきからうるせーよ。姫宮なんて大して可愛くないだろ。」

八神君の言ったこの言葉が頭から離れない。

そこまで大きな声で言っていた訳でもない。

私の近くにいた、蘭も聞こえてなかったと思う。


でも、私にははっきり聞こえてしまったんだ。

そんなに傷つくことを言われたわけじゃないし
可愛くないのは分かってる。

だから、忘れよう!

そう思っても、忘れられない。

きっと、言われた内容がショックだったからじゃない。

八神くんに言われたのがショックだったんだ…


自分がバカすぎる。少し優しくしてもらったからって浮れてたんだ。
もう、授業にできる気にもならない。

このままサボっちゃおうかな。

1時間目だけサボってそのあとの授業に出ようかと思ったけど…

八神君の顔も見たくないしな…今日は帰ろ。

『プルプルプル』

「もしもし陽菜?今どこにいんの?」

「蘭。申し訳ないんだけど…1時間目が終わったらリュックを廊下に出しといてもらえないかな?」
「バックを廊下に出すって…明らかおかしいでしょ。はぁー陽菜あんた今どこにいんの?そっち行くから教えて」

「らんー…ありがとう。今、屋上にいる。」

「わかった。」

『ギー。ガチャン』




「陽菜?バック持ってきたよ」

「ごめん迷惑かけて。ありがとう。」
「ごめんって思うなら何か話なさいよね…」

「うん。話す。」


そうして私は、同居相手が八神君だったこと…

八神君から可愛くないと言われショックで思わず教室を出てってしまったことを話した。

話し終わると蘭は

「陽菜は自分の気持ちに気づいてないんだね笑」

「自分のきもち?」
「まぁ、そうゆうことは自分で考えないとだからね。とりあえず、陽菜の気持ちが落ち着くまで八神君と距離を置いてもいいかもね?」

「うん。今はちゃんと関われる気もしないし…」

「じゃあ、陽菜!今日から落ち着くまでうちに泊まりな!」

そうして、私は家に帰って蘭の家に泊まる準備と置き手紙を置いて家を出た。