翌日のこと。

「おはよう!」

「え、あ、は…?」

これが本当に驚いた人の反応だと覚えてほしい。

本当に驚くと、言葉が出なくなる。

だって、今後一切関わるつもりなんて無かったのだから。

きっと相手も同じだろうと思っていたのにも関わらず、この人は「挨拶は当たり前」と言うかのように私に朝から挨拶と眩しい笑顔を差し込んだ。

挨拶は当たり前なのは分かっているけど、昨日初めて話した人に、こんなに親しく話しかけていいものなのか?

混乱が次々と混乱を巻き込んで、ぐちゃぐちゃになった。

「こんにちは…?」

「いやおはようだよ」

なはは、と明るい笑い声がだんだん遠のく。

今のは夢だったのか。

そう思ってしまうくらい、さり気なく彼は立ち去っていった。

(久しぶりに…おはようって言われた)

驚きの他に、嬉しさが込み上げる私があまりにも単純で、幼く感じる。

嬉しさとどこかに潜む恥ずかしさで感情がごちゃまぜだけど、多分、これは、嬉しいでまとめてもいいのだろう。

「………おはよう…かぁ……!」