僕はどこだ。



僕は大木だった。


僕は大きく、みんなに安らぎの場を与えていた。

暑くなるとみんな僕の元に集まり、体に寄りかかり涼しげな顔をする。

僕も涼しげだ。

晴れた日

いつものように小鳥が肩に止まり、風が葉を飛ばす。

青年が僕に寄りかかりそのまま深い眠りにつく。

いつもの風景、何も変わらない。

いつもの繰り返し、繰り返し。

それが僕の幸せだった。



僕はなんだか苦しい。



葉が落ち、どんどん体が朽ちていく。

あぁ、僕は死ぬんだ。

撒き散らされた黒い息に身がきられる。


悲しむことはない、僕の変わりはいくらでもいる。

僕の兄弟もいるし、子どももいる。

僕が尽きてもきっとよくやってくれるさ。

小鳥も青年もみんな悲しむことはない。

いつか気づくさ過ちに、そしたらだれも悲しむことはない。