咲は苛められていた。
 黒崎加奈子、宮内早見、橋田莉子、花坂美紀の四人に。
 彼女達、特に黒崎加奈子はクラスのボス。彼女の言うことには、皆従った。

 勿論、咲も。

 しかし、何故かはわからない。苛めの標的になってしまった。

 咲は、勉強もスポーツの至って普通。これといった親友もいなければ、嫌われている訳でもない。目立たない存在だった。
 彼女達は、咲を選ばなくても良かったはずだ。いや、最初から理由など無いのだ。
 適当に選び、気に入らなくなったら捨てる。

 ただ、それだけなのだ。

 誰も、助けてはくれなかった。
 それでも良い。ただ、一言言って欲しかった。一人じゃない、と。
 でも、駄目だった。