楽しみでしょうがない、と言った表情で小町さんは言い、私は同意するように頷いて答える。

「そうね。私は、小町さんが選ばれればお似合いだと思っているのよ」

そんな、と小町さんは大きな瞳をさらに見開いて、それから堪えきれないと言った風に、満面の笑みをこぼした。

「でも、そうね、もし私が選ばれたりしたら、それはどれだけ幸せな事かしら」

うっとりと両手の指を絡めて、頬を少しだけ赤く染める。
そんな仕草を可愛く思いながら、ほんとにお似合いよ、と心の中で呟く。


鮮やかな秋が過ぎ、やがて訪れる深い白色の長い冬。

その闇に春の小さな伊吹を吹き込むために、降臨祭は行われると聞く。

春の天使の機嫌を損なわないよう、踊り子は定められたある一定の条件を満たした者のみが選出される。

深い、白い闇が訪れる前の束の間の静寂に、春の光りを灯すのが踊り子。

目の前で満面の笑みを浮かべて照れた様子の小町雪歩は、正に踊り子に相応しい、可憐な少女だ。