――風が鳴る。 ピュゥ、でもゴウ、でも無く、その中間の音を立てて、風が私を抜けていく。 木の葉が一枚、その風に流されてゆらゆらと地に落ち 見上げた空の中で、木々が悲しそうな音を立てて揺れていた。 ――風が鳴る。 視線を落として地面を見つめる。 雨粒がアスファルトの上で光る。 街頭のオレンジ色の灯りを受けて、きらきらと。