美佐枝は私の肩に手を置いて、ぐったりとうな垂れた。

「解った……とりあえず帰ろう……」

私は後ろを振り向いた。

もう橘先輩なるひとの姿は判別できない程に遠ざかっていた。

「――これが恋だと思ったんだもの……」

私の呟きは、カラスの声にかき消された。