「うるせえ、ブス」

天使の口から出たとは思えない科白に、私はかっとなった。

「ブ……ブスって、初対面のひとに言う言葉!? こっちは好きですって云ってるのに、何の答えもないわけ? いきなり言われても困るだろうけど、でももうちょっと態度ってもんが――」

「さやか! 何やってんの! すみません、橘先輩。さやか、行くよ!」

走ってきた美佐枝に腕を引かれるようにして、ずりずりとその相手から遠ざかって行く。