なるべく同じ歩幅で歩いていたけど、

もう渡したくて我慢ができなくてうずうずする。

もういいやっ!

「これ、昨日作ったんだけ...」

「まじー!ありがとう!」

「ちょっと...最後まで言わせ...」

「うまっ。さすが真琴だわ」

「また、遮った。酷いな」

「誉めてんだから、素直に喜べよ」

「はいはい。ありがとうございました」

美味しそうにクッキーを食べる淳の、その顔が好き。

いつも冷静なのに、好きなものには目がないところを好き。

こんなにも好きで溢れているのに...

「素直に喜んだご褒美にクッキー1枚、プレゼント!」

「ありが...。って、これ私の作ったクッキーじゃん」

「まぁまぁそう言わずに」

「うん。味は悪くないわね。さすが、私。」

「なにそれ」

こんなふうに、笑いあって登校できるのもあと3日間

卒業したらもう終わりだもんね

「もう卒業だね」

「突然なんだよ」

「なんとなく」

「俺と朝一緒にいけないのが寂しいのか。
分かるぞ。その気持ち」

図星...焦ったけど冷静に冷静に...

「え。図星?」

「そんなわけないでしょ」

好きだって伝えたら終わりだよね。

こんなに笑いあって遠慮なく話せるのも。