卒業式

もう登校してきた時点から泣きそうな子とか、やたら緊張してそうな子とか、大変だった。

でも、敦はなんにも変わらず、

朝も家に来たし、学校に来てもいつも通りで、

なんだかみんな、そんな敦に助けられてるようだった。

『卒業証書授与!』

静寂な空気に、誰もが息を飲んで聞いていた。

『神崎真琴』

「はい!」

何度も練習した動作でもらい、何度も通った道を進む。

ふと後ろにいた敦に目をやると、

〈お疲れ〉と口パクでいわれて、

つい、不意打ち過ぎて1回証書を落としそうになった。