夢を諦めたのは中学生のころだった。

進路希望調査表に夢をかく欄があった。

そこに迷わずパティシエと、書いて提出してから

少したったくらいに、私は聞いてしまった。

『神崎が、パティシエなんて書いてるんすよ。

あいつ、夢見がちなやつだったみたいです。

ここに書いてる、パティシエなんてただの妄想の中だけにおさめろって感じですよねー。

現実をみるんだよ、現実を!って。

成績も素行を優秀なのに、勿体ない。

いつまで小学生気分ですかって、言いたいですよね』

その先生は、私が心から信頼していて、好きだった。

そんな先生が、職員室で私の事を馬鹿にしていっているなんて、

こんな苦しい気持ちになるなら、パティシエなんて夢諦めてやるって。

考えれば、お子ちゃまな考えだったとは思う。

けど、今は感謝してる。

あんな浅はかな思いで片足を突っ込んでいた私を、

引き留めてくれたから。

でも、『パティシエなんて...』って思えば思うほど、心のなかが濁る。

町を歩いていて、ショーケースに飾られる

可愛いお菓子を見ると胸がドキドキする。