「だれ、あれ」
「王子の彼女?」
「え!彼女いたの!?」
「やだ!皆の王子が…!」
なんか、いろいろ言われてる。
そりゃ、そうだ。
なんせ、与理は学校の王子だもん。
なんか、新鮮で緊張するなぁ。
「どこ行く?」
「く、クレープ食べよ!」
「じゃ、行こ」
手を繋いでるだけで騒がれるのに、与理が滅多に見せない笑顔を惜しげも無く私に向けるので、周りはさらに騒がしくなる。
いつの間にかクレープ屋さんに着いていた。
「クレープ2つ」
「あ、え、はい」
お店の人も慌ててる。
だんだん、面白くなってきた。
「はい、クレープ」
「ありがと」
1口かじる。
「ん〜〜!おいひ〜!」
「はは、そんなにうまい?」
「うん!与理も食べて!」
「うん………甘っ」
「それがいいの!」
「そっちもちょーだい」
「いいよ、はい、あーん」
「あーん」
「おいしいでしょ?」
「甘い」
「えー?与理、味覚音痴なんじゃないの?」
「ははっ、それはないって」
じーーー
たくさんの、視線を感じる。
でも、与理が普通にしてるから、私も合わせる。
今日だけは、普通にデートしたいんだ。