それに、Queenの私が【あの人】に憧れているのは周知の事実だ。

だって【あの人】は本当に強くて、その上に多くの人に信頼されていた。街の人も、極道なのに気軽に話しかける反面、尊敬していた。

私を助けてくれたのだって、【あの人】だ。

「俺は、助けてくれたQueenに心の底から感謝してる。

それに、ここの倉庫がKの倉庫にそっくりなのは先代が昔Kの倉庫に行ったことがあるんだ。

その人達が改装して、俺がそのまま受け継いだ。」

なるほど、ね。そういう事だったのか。

ふーん、と唸る。

と、言うか。

『違うでしょ』

「何がだ?」

だって、そうじゃない?

『あんたが変われたのは、きっかけは確かにQueenだったかもしれない。

だけどそれはあくまでも、きっかけだ。

あんたが変わった本当の理由は、あんたの努力と周りの仲間の手助けだろう。』

そこを勘違いするな、と言えば複雑そうな顔をされた。

その中に嬉しさが混じっているように感じたのはきっと、私だけでは無いはずだ。

「それにしても~、たかが手当してもらった倉庫にそっくりだっただけで〜、ここまで、動揺する?」

痛いところを、突かれたな。だけど、こいつはきっと…。

「まぁ~、いいけど。それより~、そろそろ自己紹介しに行こうよ~?」

「それもそうだな。下に行くぞ、紫陽。」

「おら、とっとと出ろ馬鹿女」

『は?ふざけんのも大概にしろよ。バカはてめぇだ。』

金髪とそんな会話をして幹部室を出る。

あーあ。“金メッシュ”(銀もあるけど)に続いてこの“Kの幹部室と酷似している部屋”を出るのか。

はは、辛いなぁ。

こちとら、Kを抜けたのはつい最近で、傷癒えてないっつーの。

私は皆に続いて部屋を出た。