よいしょ、と立ち上がる。

最後に。

『本当に強いヤツは勿論のこと、力もある。だけど力だけじゃ大切なものは何も守れねぇ。

これは、個人的に見てきて確信を得たことだけど。

力が強いだけじゃダメだ。心も同じくらいに強くなれ。


この世界、力が一番だし強くなければ守れない。

だが、心も強くないと誰もついてこない』


そう言いながら、自分の胸を叩く。軽く、瞳を閉じる。

【あの人】は両方持っている。強さも、カリスマ性も。

だから、肩を並べたくて。並べても許されるように。必死にもがいたんだ。

瞼を持ち上げ、口元を歪ませる。

『頑張れよ。』

そう言い、歩きだそうとしたところで

「待て」

と、呼び止められた。

何だよ。ここは、かっこよく去らせてくれよ。

と思いながら振り返れば。

「何故、俺に……話しかけた…。」

その言葉に、一瞬戸惑う。それは、さっきも思ってたんだ。

でも、考えても一つの事しか思いつかない。

それを言うならば。

きっと…。

『俺たちのシマで暴れてたから。それに、』

_________何となく荒れてた過去の俺に似てたから。

そう告げれば、男が目を見開いたのが分かった。

『俺が変われたんだ。

それだから、俺に似てるお前もきっと。

変われるだろ?』

そう言い、今度こそ歩き始める。

あーー、早くあいつらの元へ帰ろう。

そして【あの人】に今あったことを話そう。

きっと、抱きしめてくれるから。

思わず、頬が緩む。



特攻服を翻しながら、歩いていった。