再び、頭を撫でる。今度は噛みつかれるようなことは無かった。

『良い方に変えられる努力をしろ。一つ一つ変えていけ。』

変えたいから、馬鹿みたいに皆もがいているんだ。

現状を変えたくて。だけど、変えられなくて。苦しくて。手を伸ばして。運命にだって、抗った。

大灯だって、藍だって、統牙だって、【あの人】だって。勿論、私も。

最初から強かった、出来た、完璧だった訳では無い。

みんながみんな、少しでも良くなるようにがんばってきたのだ。

だが、努力は必ずして全部報われる訳では無いということだって嫌というほど経験してきた。

『必ず、努力が報われる訳では無い。そんなことがあるはずがないのだから。

そういう時こそ、仲間を頼れ。

そうして、今度仲間が助けを求めてきたら今度はお前が助ければいい。

完璧な人間など、最初から居ねぇんだ。』

支えあって変わる決意を貰って。

それが大切なものを守る。守りたいという感情だと思う。

私は変えるための手段に、大切なものを守るというものがあると思う。