しゃがんで、男の目線と合わせる。

強く蹴ったせいか、起き上がってくることはなかった。

少し、目を細める。

『だけどよぉ、お前に玩具みたいに殴られてたやつの方が何倍も痛かっただろうな。』

そう言えば、男はハッと目を見開いた。

『お前に何があって荒れてたなんて知らないし、微塵も興味が無い。ミジンコ程も。

ん?いや、ミジンコって微生物の中では結構でかいよな?

……ゾウリムシ?』

そう話を振れば、知らねぇよというような目で思いっきし睨まれた。

だから、落ち着けよ、少年というように頭を撫でておく。

噛みつかれそうになったから、慌てて手を引っ込めた。

『取り敢えず。お前に何があったかは知らねぇけど。これだけは言える。』

別に、守りたいものを作れなんてテンプレまっしぐらなことは言わない。

俺が、伝えたいのは……。

『荒れたところで、何も変わんねぇ。ただ状況は悪くなるだけだ。

変わるためには努力をしろ。

1人じゃ無理なら、仲間に頼れ。

お前、特攻服着てるからどっかの族だろ?

お前の仲間は頼れねぇ程に弱い奴らか?』

そう、挑発するように言えば

「違ぇ」

重く、否定された。