てか、

『Kに憧れている人がいる…ねぇ?』

別に、そういう人は少なくないが、ここまでKのことが届いているとは…。全国もやはり伊達ではないのね。うん。

まあ、ここまで、とか言っても隣県だけどね。

さて、誰に憧れているんだ?

【あの人】か?【あの人】なのか?

だって、【あの人】は自覚なしに人のことをすくい上げていく。

それに、いとも簡単にやって見せる。

水を渇望している魚にゆっくりと優しく適温の水を選んでかけていくように。欲しい言葉をくれる。

私だって、例外ではない。

だから皆、【あの人】に憧れるのだ。

そう言えば私も、1回だけ【あの人】みたいにやってみたことがあった。

あの荒れようが昔の私と似ていてほっとけなかったのだ。

あの子は今、どうなのだろう。信頼出来る仲間を見つけたのか…。

「龍喜は、その人の事を紫陽さんが知っているか気になったんだと思うよ。」

『へぇ。私、Kがいた所に住んでいたから話は入って来てるよ。』

そう。

“Kの本拠地として使われている倉庫”に“住んでいた”。

仲間だったから、居候ではない。皆が女の私のことを認めてくれていたから。