それに私は緊張なんて感情、分からない。

抗争や暴走前の。まぁ、大体は暴走の時の独特な緊張感が辺りに走っている時でさえ、私の胸は緊張なんてしてないのだから。

んじゃあ、何を感じているのか?

それは、

_______高揚感。

私をそうした原因は、きっと……___。

「ねぇ。」

お姫様の声で、物思いの思考から抜け出す。

『何?』

「里香ちゃんも、戦うの?女の子なのに、危なくないの?」

その言葉は、さっきまで顔を真っ赤にしていた女の子のものだった。

「里香ちゃんは、綺麗だもん。

私は里香ちゃんがこの世界をどれぐらい知っているのかは分からない。

それでも……。」

何となく、その言葉の続きは分かった。

あまり、この世界の汚さを知らなくていい、と。言いたいのだろうな。もし、知らないのなら。知って欲しくない、と。そのままでいて欲しい、と。

優しいと、同時に残酷な言葉だと思った。

残念な話だが。それはもう。

…………遅いのだ。

始めの問いは何だったか。ああ、そうだ。

戦うの?危なくないの?だったか。

『確かに、危ないかもな。』

「え?危ないのはヤ、だよ。里香ちゃんがいくら強くても……私は『でも。』」

お姫様の声を遮る。

『ぬけぬけと、守って貰うのは、嫌だから。ただ、住まわせて貰うだけの無利益な女にはなりたくないから。

まー、いわゆる等価交換、かな?』

そう言えば、分からないと言いたげな顔で見られる。

少し、目を細める。私だって、実際は長い間この世界にいた。

この世界は強くないと。でないと、必要では無いと淘汰される。

いるか、いらないか。

だから、この世界で生き残るには。

『必要な人間でなければ、捨てられてしまうから。

オヒメサマのお前は守られるのが仕事だが、私は違う。私は、居候。神龍に利益をもたらさなくてはならない。

その手段の中で私に出来ることは、戦うことだから。』