『はいよ。』
「……ありがとな。」
『礼にはおよばないよ、……相澤。』
「なんでそんなに名前溜めた?」
『なんか呼びなれなくて。』
会話をそもそもしなかったからね。必要最低限。
ゾワゾワする、と付け足せば「くはッ」と笑われた。
『それじゃあまた明日。』
「おう。明日には帰るからな。」
『うん。じゃあおやすみ。』
「おやすみ。」
もう一度だけ、振り返る。
『やっぱり、一緒に戻らない?』
その言葉に少しだけ驚く相澤。
ふっ、と笑って立ち上がってくる。
やっぱり身長高い。
「どうした?戻るんだろ?」
『うん。いや、最後にもう1回星見ておこっかなって。』
「ああ、倉庫の辺り明るくて星見えねぇもんな。」
『明日、晴れるかな。』
「さぁ?晴れるんじゃね?」
そういった相澤の顔は晴れ晴れとしていた。そしてまた、一緒に星を眺めるのだ。
広い、広い、吸い込まれそうな星を見上げながら。
終。