『あのね』
「なんだ?」
金髪の方をみて、笑う。
『藍もね、努力してるんだよ。それだけは知っておいて欲しいんだ。』
そう言えば笑い返された。
「知ってるよ」
と。だから、憎いのだ、と。どれだけ努力しても軽々と越えられる。
『私ね、昔聞いたことがあるの。大学に入って何するんだ?って。相澤は知ってる?』
藍ほどの実力があるなら、多分全国でいちばん強いと言われている組に入ることが出来るだろう。藍の父親もそこにいる。【あの人】が次期若頭を務めている組。
「知らねぇな……。このごろ会話もろくにしてねぇんだ。」
『答えはね、経営学。』
「……経営?会社でも建てんのか?」
『ううん。そうじゃなくて、ここの店を継ぐため。』
「ここを……?」
そう、ここのBBQ施設を継ぐため。元々ここは乱華さんの趣味で始まったものだ。だから、継ぐことは強制されていないと語ってはいたけれど。