「やったじゃない!今夜はお赤飯ね!」

「お赤飯って……」

「龍喜くんも食べてく?」

「うん。食べたい。」

「分かった!それじゃお母さんちょっと買い物行ってくる。」

「ああ。行ってらっしゃい。」

「お赤飯楽しみにしてます。」

ニコッと笑って、長い三つ編みの髪の毛を揺らしながら出ていく母さんを玄関まで見送った。




「相変わらずお前の母さんはテンポが早いな。」

龍に言われる。

「まぁな。」


冷蔵庫から飲み物を取り出しながら答えた。


それぞれグラスを持って、階段に登る。


「龍、どうした?早く階段登れよ。」

「だって麦茶こぼれる……」

「そんなに並々ついだの!?」

横に体を倒して見てみれば言うほどではない。

「なんなんだよ。」

「いや、別に。」

「はぁ?俺先いくぞ?」

「待て。動けるから。」

「ったく、めんどくせぇな。」


再びのろのろと進んでいく。階段を上がった手前が兄貴の部屋だから自分の部屋に行くには兄貴の部屋の前を通る必要がある。

何をするか知らないけど女物のパンプスがあったし、あまり情事中に声を出されるとうるさいので一応牽制の意味も込めて帰ったことを伝える。


「兄貴、輝だよ。帰ったよ。」



そう、声をかけようとして。