「藍さんに挨拶したかったけど、取り込み中ならやめた方がいいのか……。」
「そうだなー。」
兄貴は暴走族に入ったと聞いた。なんでも完全スカウト制で入ることさえ難しいという、全国NO.1を誇る暴走族、Keeper。
準幹部を務めているらしい。すごい話だ。一方で俺たち神龍もこの前大きな抗争があり、そこで無事勝利を果たし関東No.1となった。
……全国No.1のKeeper、通称Kは関東に位置しているから実質的にはNo.2だけど。
「先俺の部屋行ってろ。飲みもん持ってくから。」
「いや、乱華さんに挨拶したい。」
「そうか。俺も久しぶりだな、母親に会うの。」
「変な話だな。母親なのに。中学生が何をしてるんだか。」
「別にいいだろ。親公認だしさ。」
龍は肩を竦めた。
1階にある母さんの部屋。その扉をノックする。
「ただいま、母さん。」
母さんがちらっと顔をのぞかせた。
「あらおかえり!身長伸びた?」
「そんな短期間で伸びるわけねぇだろ。」
「その割には、龍喜くんは伸びてない?」
「10センチほど…。」
「成長期ね。」「成長期だな。」
「勝ったの?抗争は。」
母さんのその言葉に龍と顔を合わせる。そして、どちらからともなく笑う。
ブイサインを作る俺とは反対に龍も頷いた。