「輝、そう言えば」

「ん?どうした。」

「彼女とは上手くやってるのか?」

「いきなり何の話だよ。」

少し笑う。いきなりなんでそんな話が出てくるんだ。


「いや。ただお前とはあんまり関わりがなさそうなタイプと付き合ってんなって思って。」

その言葉に少し考える。相手が告白してきてくれて、嬉しかったからOKをした。

喜んでくれて嬉しかった。

「まぁ、どういう態度で接すればいいかはイマイチ分かんねぇけど何とかなるだろ。」

「彼女のこと、好きなのか?」

「好きだとは、思うけどー……、」


あれ?俺、これ、何気に初恋?


「龍は?彼女とかいねぇけど。」

「俺?俺は……、好きな人がいる。」

「はっ!?」

思わず力が入ってブレーキを掛けてしまった。

龍も俺に次いで止まる。

「暑い。早く行こう。」

「お、おう……。」


龍に好きな人…、ねぇ。他人に興味無さそうなのに。


20分。倉庫から家までチャリを飛ばしてかかる時間。


日差しが気で遮られて涼しい。

幼なじみと言う割には千歩とも龍とも家は少し離れている。

「ただいまー。」

「お邪魔しマース。」


昔ながらの引き戸を開く。


「あれ?女物の靴?」

「藍さんの彼女?」

「その可能性は十分にあるな……」

見たことがないパンプス。