最初の頃は幼稚園だった。幼なじみの龍(輝は龍喜のこと龍って呼ぶよ。)に1個年下の千歩。

楽しく遊んでいた。2人とも、俺をちゃんと見てくれていた。小さい頃人と関わりが少なかった俺は、その2人の態度が当たり前だと思っていた。

それに、優しくしてくれるお兄ちゃんが大好きだった。運動も勉強も出来るお兄ちゃん。容姿端麗で優しいお兄ちゃん。

完璧な兄に、憧れた。






別に、大したことない過去だ。だけど自分には辛いもの。



気がついたのは小学生の頃だった。


1年生と6年生はペアになって、6年生が学校を教えたり1年生をアシストする。

お兄ちゃんになるといいなって思ったけれどそんなことは起きず、お兄ちゃんのペアは偶然なことに龍になった。


あの人カッコイイ、と言う声がざわめく教室。


最初はお兄ちゃんが褒められることが嬉しかった。お兄ちゃんが笑ってくれることが嬉しかった。

教室にはすぐに相澤藍が、相澤輝の兄だということが広まった。