何が言いたいか、って?


私が怪我をして、乱華さんに面倒を見てもらっていたってことはつまり家でお世話になっていたことになる。


なぜなら乱華さんは人の名前が覚えるのが苦手。3度や4度会ったくらいじゃ覚えない。客商売だと言うのに大丈夫なのだろうか。


もし家でお世話になっていたとしたら、藍と知り合いになってもおかしくはない。ただ1つおかしいとすれば、その家に住んでいるはずの金髪と会わなかったこと。


だけど、金髪は帰宅勢ではなく倉庫に泊まるタイプ。その理由は兄が嫌いだから。藍自身もそう言っていた。「おれ、弟に嫌われてるんだよねぇ。」と。



それを踏まえて発言をすれば、乱華さんと藍と知り合いなのも説明がつくし金髪と知り合いじゃない説明もつく、と言うわけだ。



「そうか…。」


金髪が納得したように上をむく。嘘に少しだけでも真実を混ぜれば、判別することは難しくなる。



「お前、俺の兄貴のこと知ってたんだな。気づいてたのか?」


『苗字が一緒だな、とは。あと目元が似てる気がする。』


「そうか…、。ここ、兄貴に教えて貰った場所なんだ。お前も?」


『そう。藍に教えて貰った場所。』


「……、兄貴のことは名前で呼ぶんだな。」



え、と聞き返す余裕はなかった。