「紫陽は美人だな。」
『……吃驚した、何いきなり。』
心を読まれたかと思った。
「いや、特に深い意味は無いけど。」
『なんなんだよ。』
「千歩は今部屋か?」
なんなんだよ、ほんと。ホントなんなんだよ。話の振り幅が凄いというか。コロコロ変わるというか。
『うん。疲れたって言ってた。』
「ふむ。そうか。それもそうだな。きっといつもならもう寝る時間だろうな。」
『もう?』
今、22時くらいだけど。
「ああ。そういう機能でもついてるのかと思うくらいにぴったりに。」
『こわ。』
くくく、と笑う十勝。
「それにしてもどこか行くのか?」
『まぁ。行きたいところがあって。』
「そうか。そう言えば紫陽は輝の母親と知り合いだったもんな。」
ふむふむ、と頷いて
「あまり遅くまで出歩くなよ。早く寝ろよ。」
それじゃあ、とまるで母親のようなことを言われ十勝とは別れた。