ご飯を食べたあと、乱華さんに泊まる部屋に通された。

「うーん、里香ちゃん、部屋どうする？千歩ちゃんと一緒にする？」


そう。私は藍を含めたKメンバーとここに来ている。なので私が泊まるようの部屋もあるのだ。

乱華さん宅は昔民宿をやっていたことがあるほどに広い。部屋も沢山ある。

「え！！里香ちゃん！一緒に寝ようよ！お泊まりしよ！！」

久しぶりに行ってみるのもいいかもしれない、と思っていたところで腕をグングンと引っ張られる。

『痛い、痛いんだけどちょっと…。分かった、泊まるから。乱華さん、千歩と同じ部屋に泊まります。』


ねぇ、泊まるからお願い。私の手を持ったまま万歳三唱しないでくれ。腕が痛いんじゃボケ。

「分かったわ。なら広い部屋が隣にあるからそっちにしましょう。」

そう言って乱華さんは隣の部屋に通してくれた。

『広い…』

「わー、凄い！」


一目散に千歩が走っていって窓を開ける。その隣に並べば涼しい風が入ってきた。

『気持ちいい風』

「ね！いつもジメジメしてるけど山の方だからかな？涼しい。」

『私こういう晩好き』

「風流ですな」

夏の始まりの空気。少し緑くさいけれど。

周りに家はないから夜景も何も見えない。けれど心はどこか広いホテルに泊まった時のようなドキドキ感に包まれている。