出てきたのは赤、青、黄色の小さな箱。タイムカプセルだ。

男の子が全部を取り出す。

「僕とね、弟と、隣の家の子で埋めたんだ。引っ越しちゃうって言うから最後の思い出にって。5年後、僕達が小学6年生になる頃にまた開けようって約束したの。」


開けていく。箱を。


中に入っているのは手紙と、多分当時お気に入りだっただろうおもちゃ。

でもそれは少し古い。見た目の年齢は小学3年生に見える。埋めたのは多分2年前。

2年前のおもちゃと言うには、一昔前な感じがする。10年前くらいに発売されたおもちゃみたいだ。


男の子はタイムカプセル3つ。それを大事そうに抱える。


「ぜんぶ、ぜんぶ、持っていくね。」


そう言って薄く笑ったあと、私たちの方に目を向けた。


「お兄ちゃん、お姉ちゃん。手伝ってくれてありがとう。

すごくすごく、楽しかった。最後にお兄ちゃん達とあえて僕嬉しかった。」

「最後……?」


ずっとずっと、思っていたことがある。

だけどそんなはずがないと押し込めてきた。だけど、この光景を見てしまったら、確信せざるを得ないだろう。



男の子の体が、透けていく。

端からほころびるように金色の糸みたいになって、チリチリ、チリチリと消えていく。