【これで最後。この手紙をここまで見たってことはまだ思い出せなかったんだね。

本当に最後だよ。




君の近くに岩があるだろう?大きな岩だ。その岩の先が夕方の影で9時を示すところを掘ってみて。】



「岩ってのは、これか?」


たどり着いた所には昔に建てられたであろう家がぽつんとある場所。きっと今たっている場所はそこのお家の庭だろう。

目の前には岩。岩?岩だな。いや、岩?うん。どちらかと言うと石碑……岩じゃないじゃん。

「これの影……、9時の場所?どこを基準に?」


時刻はちょうど夕日が沈み始めたところ。1日丸々このお宝探しに使ったのか。でもいいやと思える。不思議と楽しかった。

「季節によって影のできる場所って変わらない?」

「確か変わった気が……。」

『こうなると周りをぐるっと掘っていくしかない気がするけど……』


その時、男の子が動いた。

ててて、と駆け寄っていく。

「なにか思い出したの?」

そう聞いても何も答えない。静かに、笑った顔は。少年がする表情とはかけはなれていた。

「最後だよ。お兄ちゃん、ここ、お願い。」

指を指す。そこをザカザカと十勝が掘っていく。

「出てきたぞ。」


私たちがその周りを取り囲むように集まる。