男の子が手紙を読み上げる声をぼんやりと聞く。

「タイムカプセル…?」

永富が不思議そうに声を上げる。

「うん。そうだ、僕はそれを探していたんだ。

そっか。そっか、。」

5年後まで見るな、と言うことは5年前に埋めたのか。



「お姉ちゃん。」

クンクン、とパーカーの裾を引っ張られる。

『どうしたの?』


男の子は私に手紙を差し出してきた。


「つづき、読んでくれる?」


差し出された手紙。

どうやら男の子が今読んでいたのには続きがあったらしい。それが私に差し出された。


読めないのか、と疑問に思うも、ここで筆跡が変わっている。

大人が書いたものなのだろう。

「お父さんに書いてもらったやつなんだ。謎謎形式にしてって頼んだの。5年後にはきっと読めるようになってるよって言ってくれたんだけどね、僕わからない。」


【暗号

この手紙を埋めた木から
西へ10歩、北へ83歩。

そこをスキップ5回分西へ進んで、また北へ。今度は50歩。

そこの下だよ。】


謎謎なの?これ。


それが率直な感想。でもこれくらいの歳からしたら謎謎なのかな。謎謎というか、なんかオシャレな指示書?

顔をあげればキラキラした瞳の男の子。


『行ってみよっか。』

「うん!!」


男の子は大きな笑顔を咲かせて笑った。