森の探索は2周目に入った。1回回ったところをもう一度見渡す。だけれども思い出せないと言うので更に奥に踏み入ってみた。

そこで初めて男の子の顔が変わった。弾けたような表情の顔。

何を思っているのかはわからない。


「あ、お兄ちゃん、あの木の下を掘ってくれない?なんか知ってる気がするの。」


木がいっぱい生えている。その木の幹に大きな赤い矢印が下を向いて描かれている。ペンキで塗ったのだろうか。


「この下か。ちょっと待ってろ。」


ザクザクと掘り起こしていく十勝に、注目する。何が出てくるのだろう。


ガンッ、と岩に当たったような少し鈍い音がした。シャベルを横に置き、掘り進める。どうやらシャベルと一緒に手袋をも持ってきていたようだった。


凄いね。よく頭回るね。私には無理だ。


「これか?」


手が止められる。その時に持っていたのは手紙のようなものだった。

男の子の目が輝く。


「それ!」

「これを探していたのか?」


そう問う金髪には目もくれずに手紙を開封していく。

白い封筒に白い便箋。黒色のボールペンで書かれた文字の羅列。それは幼い子が書いたような不器用な文字だった。

【もしも、タイムカプセルのばしょをわすれたらこのてがみを見てね!


5ねんごまでみちゃダメだよ。】


そうか、探していたのはタイムカプセルなんだ。