「そうなのかな。そうだったらいいな。

……お兄ちゃんも一緒に見つけてくれる?」

「ああ。見つけるとさっきから言っているだろう?だから心配するな。」


寄る辺のない幼子のような瞳。酷くゆらゆらと揺れている。


「えへへ。なんだか温かいや。」


風が吹いた。


男の子の髪の毛が揺れる。



首元が一瞬だけ見えた。



瞬間的に吐き気がして、目線を下に下げる。



何今の。私の気のせいだよね?


もう一度見れば"それ"はなかった。

当たり前だよ。



よかった。私の、見間違いか。

「里香ちゃん?」


『なんでもないよ。』


私の、気のせい。