無茶苦茶である、はずなのに。
「あっ、それ!見たことある!なんだっけ!」
『シャベル、だよ。』
男の子が異様な程の食いつきを見せた。
「それね、僕使ったことあるんだよ…!!」
「へぇー、なにか埋めたの?」
「うん!埋めたの!!……あれ?なに、を埋めたんだっけ?」
『それはもしかして、君が探しているもの?』
「うん、、、多分。そんな気が、する。」
『そっか。土の中に……どこら辺に埋めたかは?』
男の子の顔が無表情になる。どこか遠くをみているよう。
「あっち、」
『あっち?』
そう言って指を差し出した方向は、山奥。
ザワザワと木が動く。不気味だ。
「じゃあ行くか。」
なんとでもないように言う十勝を、男の子は驚いたふうに見つめる。
「行くの?」
「ああ。行かなければお前が探しているものは見つからないのだろう?」
男の子はグッと十勝の服を握った。
「あそこ、なんか怖い。きっと近寄っちゃいけないよ?」
「大丈夫だ。何せ俺は強いからな。ここにいるヤツらも全員強い。
お前を守るくらいのことは造作でもないさ。」