『千歩は充分強いよ。』

そう投げかければお姫様の肩がピクリと震える。そうだね、確かに武力的には弱いかもしれない。それでもさ、

『武力だけが強さじゃないと思うの。

その人を守れて……、
その人のためにたちまわることが出来て、一緒に大切なものを守って、寄り添って……。

そういうことが出来る人こそ、本当に強い人だと思うし、強さだと思うんだ。


力があればなんでも守れるって思うかもしれない。だけど力を間違えて仲間を傷つけたら意味が無い。


武力っていうのはね、諸刃の剣だよ。』

お姫様が少し驚いたように目を丸くする。それでもすぐに下に目線を落とした。

「それでも、武力的に強くなければ大切な人は守れない。弱いままだよ。」

『それはあるよ。だから、時間をかけてゆっくりと強くしていけばいい。今話を聞いた通りなら、千歩は自分の身を守れるんでしょ?ならそれで十分だよ。

もしもこれからもっと強くなりたいのなら練習すればいいだけの話だよ。』

「そっか……、」

『千歩は弱くなんかないよ。強いよ。

最初は私ね、千歩のことお姫様だなって思ってたの。みんなに守られて何も知らないって顔をしてるお姫様だって決めつけてた。

確かに今回勝手に抜け出したてビックリしたし不安になったのも事実だよ。だけど、私たちに迷惑をかけないようにって、巻き込まないようにって守ろうとしてくれたんでしょ?

それが嬉しかったよ。ごめんね、お姫様だなんて決めつけて。千歩は悩んでたんだね。…………、千歩?』


私の腕の中で肩を震わせている女の子。いや、体格差すごいな。