「あんたが、弱いからだよ。」
頭を鈍器でガツンと殴られたような気がした。先程蹴られたところの傷よりも痛い。
椛さんは……椛はまだ続ける。
「あんたがって言うよりも、あんたらがの方が正しいわね。」
人をバカにするように笑って。
私が弱いから裏切ったの?じゃあ強くなりたいからって練習をしていた私たちのことは見下していたの?ううん、見下すだけならまだいい。
それに苛立って裏切りをしていたなんて。
「千歩、もういいよ。もういいから、休んでろ。」
龍くんが私を輝くんに預ける。おんぶから次はお姫様抱っこになった。いつもなら照れるところだけど、それどころでは無い。
先程受けた痛みもあるし、今さっき椛さんが言った言葉の衝撃も大きい。でも、これで諦めたらそれこそ椛さんが私たちを裏切った理由の弱いからってことになる。
立たなきゃ。
「輝くん、私、自分で立つよ。」
私の声に輝くんがギョッとしたような顔でこちらを見る。
「嘘だろ、おい。そんな怪我で立てるわけ」
「そうね!千歩は特に弱虫だから、誰かに手を貸してもらわなきゃ自分で立てやしないわよねぇ。あはっ!手を貸してもらってもその傷じゃ立てないか!」
「……っ、」
私がさっき言った言葉の意味が分かったようで輝くんが歯を噛み締めた。