その夜、お姫様は倉庫に泊まった。

私の部屋で一緒に寝ることになった……というか、元々私が使っている部屋が空き部屋でお姫様は泊まることになった時にはそこを使うらしいから、結局は私が奪った形、なのだろう。

というか、お姫様って家に帰る派なんだよね。私がここに来てから色々あってよく倉庫に泊まってたけど。


窓の外に出ている月を見ながらさっき十勝に貰った缶チューハイを飲む。雨は気がついたら上がっていて月が出ていた。

いつ雨が上がったのだろうか、綺麗な綺麗な3日月が出ている。秋によく見る黄金色の月なんかではなくどこか哀愁を漂わせるような 冷たい色のような感じの蒼い月。

黄色の明るいものよりは、青色の冷たい方が好きだ。明るいものに照らされるのは嫌いだから。


「ただいまぁ〜、…………、！？」

「おかえり、千歩。何？どうした？」

お風呂に入って来た千歩は頬がピンク色に染まり、
いつものサラサラの明るい茶色の髪が、水を含んだことにより少し重く、いつもより暗い焦げ茶に変わっていた。