Side.C

「ごめんね、里香ちゃん。」

守られるだけのお姫様は、嫌なんだ。私だって戦いたい。

______守られるのが、私の役割だったとしても。

トイレに行きたい、と言ってみんなでトイレに来た。けど、私の目的は用を足すことなんかではない。

カサッ、と制服の内ポケットで音を立てるもの。

こくり、と頷いて、誰もいないのを確認して窓を開ける。よし、里香ちゃんもこっちを見る気配がない!今だ!!

できるだけ音を立てないようにしながらも時間が限られているので、ガッと窓を開ける。

幸い、というかなんというか、ここは1階。飛び降りても死にはしない。

窓枠に手をついてプールの中からプールサイドへと上がる要領で上体を起こし、足を窓枠にかける。掛けてしまえばこっちのもの。

覚悟を決めて、飛び降りる。

「窓を閉めて、」

呟いて、里香ちゃんとりゅーくんにバレないように走り出す。

少し走ったところで、カサカサと音を立てる"それ"を取り出した。

それは、手紙だ。里香ちゃんが見つけた不幸の手紙。あれは、神龍用で、実はもう1枚私宛のものがあったのだ。

見つけたのは偶然で、雪くんと一緒にゴミ箱へと手紙を捨てに行った時にやたらと目に付いたもの。

だから、雪くんに黙って手紙をカバンの中に入れた。

このことは誰にも話していない。