『2つの可能性が、千歩が自発的に出ていった場合。

もしかしたら、千歩には予め場所を指定する手紙があったのかもしれない。

空き教室に来いなんて言っているくせして、その空き教室がどこか知らせていないのはバカだろう。

何らかの手段でそれを知った千歩が私たちに何も言わずに出て行った、か。

どう思う?』

そこまで言って十勝を見れば、コテン、と頷いた後に携帯を取り出した。

プルプルプルプル、プルプルプルプル、

コール音が2、3回なってからプツ、と回線がつながった音がしてコール音が止まる。

「雪か?千歩がどっかいった。そっちに行くかもしれない。よろしく頼む。」

……そうか、そう言えば永富は予定の空き教室にスタンバイしている。

お姫様は自分のことを強いと言っていたがどれほどかは分からない。

幹部の永富がいれば少なからず安全だろう、一息ついた。

「紫陽、Bluetoot○持ってるか?」

Blueto○th、この間発表されたワイヤレスイヤホンだ。

『持ってる、一応。』

「そうか。それで連絡取りたいから一応付けっぱなしにしといてくれ。電話したらすぐ分かるように。

他の奴にも千歩がいなくなったことと、雪に連絡したことを回す。」