『……東京、か。』

ポツン、と思わず声が漏れる。Kの倉庫の位置は東京から限りなく近い位置にある。私も東京に行けば少しでも、Kの噂が耳に入るだろうか。

今はどうなっているのだろう。きっと参謀をやっているJackと、影武者みたいな位置づけにいるJokerが協力して方針を導いているのだろうか。

……Aceは使えないからな。

あいつは、今頃何をしているのだろうか。私がボコボコにした、あいつはまだ。

いや。あいつもまだ、眠っているのだろうか。

【あの人】は今の私たちを見て、何を言うのだろうか。

何を、思うだろうか。

「千歩、遅くねぇか?」

10センチくらい上の方から声が掛かり、頭を持ち上げる。

『確かに……。いつもは速いの?』

まだ、何もこの人たちのことを知らないと再確認する。

「ああ。速い。もう、新幹線のレベルじゃねぇか?ってくらいに。

たまに俺たちよりも速い時がある。」

『いやいや、それは速くね?』

新幹線は言い過ぎだろう。新幹線は。

それにしても、話題に出るくらいお姫様は今回は遅いのだろうか。

腕時計を見れば、入ってから約10分経っていた。