耳元から携帯を話して、画面を確認すれば

《輝》

の文字。


『声がでかいわよ。もう少し、声小さくして。』

どうやら金髪からのようで、応答した瞬間に怒鳴られ耳がキーンとした。


「おせぇよ。お前、今、どこにいんの?」

『今?喫茶店』

「は?まだあのさっきのおっさんと話してんのかよ。」

『……アンタには関係ないでしょ。』

拒否するように言ってしまったことに、少しだけ後悔したが、

「は?関係ねぇ?ふざけんなよ。

お前が帰ってこねぇから!!

龍がお前のこと心配で倉庫内オロオロしてんだぞ!」

『は?』

思わず、間抜けな声が出てしまった。

関係ない、と言ってまた怒鳴られると思ったのに答えに少し拍子抜けした。

『十勝が心配してる?』

「ああ。ほら、変わるぞ」

そこからガチャガチャと周りの音が入ってくる。
中にはお姫様の声もあった。

ガガガガ…ガ。

少し耳から携帯を話して待っていれば、
「紫陽か?無事か?」