翌朝、ノックの音で目を覚ました。


「佐々本さん入りますよー」

「はい」


入ってきたのは昨日とは別の看護師さんだった。

「おはようございます。
血圧測りますねー」



昨日の看護師さんよりも若い女の人で、たぶん私と大して年齢が変わらないはずなのに、すごくしっかりしているように見えた。



「そういえば佐々本さん、知ってますか?
今ネットやテレビで大人気になってるんですよ!」


「誰がですか?」

「そりゃもちろん佐々本さんのことですよ!
『男の子を助けた天使』って動画がSNSで拡散されて、今や日本中で大人気!」


なに、それ……
そんなことされたら私…



「なに驚いた顔しちゃってるんですか!
天使みたいに白くて可愛い女の子だってみんな大絶賛ですよ?

今頃佐々本さんが無事だったってことも報道されて、さらに盛り上がってるんじゃないですかね」



やめて…そんなふうに目立ってしまったら…


「その動画って…事故のときのですよね?
…私の顔、映ってるんですか?」